大阪府が宿泊税の基準下げ対象拡大|宿泊税徴収による観光客へのメリットとは
令和元年6月1日より大阪府下のホテルや旅館などで徴収されている「宿泊税」の課税基準が下方修正されました。対象が拡大したことによって宿泊者全体の約半数が課税対象になると見込まれています。
宿泊税というものが徴収されることによって、ホテルや旅館の利用者がどのようなメリットを受けるのかを解説します。
宿泊税とは
宿泊税とはその名の通りホテルや旅館などの宿泊施設に滞在した時にその利用者に課される税金の事です。海外では欧米を中心に広まってきている宿泊税(Accommodation Tax)ですが、日本では2002年に東京都が初導入し、その後大阪府(2017年)、京都市(2018年)、金沢市(2019年)など各地で導入が進められています。
宿泊税導入の目的
宿泊税導入によってより観光のしやすい街並みになることが期待されています。例えば観光客がより充実した観光が出来るように案内板の設置をすることやSNSによる情報提供の広告宣伝費などに使われる予定です。詳しくは大阪府のホームページに記載されています
【旅行客への観光案内、情報提供の充実・強化】
・旅行者にとって必要な情報を簡単に入手できるようにするための環境整備
・旅行者が容易に行きたい場所に行けるようにするための環境整備
(わかりやすい多言語表示や案内の実施、観光案内機能や情報入手のための環境整備の充実 等)
【大阪での滞在時間を快適に過ごすための取り組み】
・旅行者と地域住民との相互理解の促進のための事業
・宿泊施設の確保に向けた事業
・宿泊施設や観光地における快適性や満足度を高めるための事業
・府域の移動利便性向上のための事業
【旅行者の安全・安心の確保】
・旅行中の災害時対応等、旅行者の不安を解消し、安心感を高めるための事業
【魅力あふれる観光資源づくり】
・国内外から集客できる新たな魅力づくりやしかけの促進ならびに府域における既存の魅力資源の更なる活用
【効果的な誘客促進】
・更なる誘客促進に向けた観光に関するマーケティングリサーチ
・積極的かつ効果的な大阪の魅力の情報発信
引用:大阪府/大阪府の宿泊税
宿泊税導入の背景
1940年に遊興飲食税として設定されていた一定額を超える飲食代や宿泊代に課せられる税がありましたが、国民からの二重課税ではないかと声が上がり、1999年に廃止されたという過去があります。
しかし近年になって似たような税制が導入されることになった背景にはさまざまな理由があります。まず外国人観光客の大幅な増加によって更なる観光の利便性向上が必要とされていること。もう一つは宿泊税のかからない宿泊施設の利用が増加し価格競争が激しくなり非課税の価格帯の宿泊施設が以前より増えたことによって当初想定されていた税収を大幅に下回ったこと。さらに格安の民泊施設の台頭による税収減も懸念されていること。これらのような要因が宿泊税の対象拡大につながったと考えられます。
宿泊税徴収の基準
2019年6月1日より施行される大阪府の宿泊税の基準は上図の通りです。(基準の改正前は課税額が100円の対象が10000円以上15000円未満でした)
基準額は素泊まり時の宿泊代金・サービス料で計算されており、消費税等に相当する金額(消費税、地方消費税、入湯税など)や宿泊以外のサービスに相当する金額(飲食代金や会議室の利用、電話の利用料など)は含まれません。
まとめ
宿泊税増収は基本的には賛成です。宿泊税がうまく回るによってより良い街づくりに貢献できるのなら良いですが、ホテル業界が更なる価格競争をすることによってどこかにしわ寄せが来るようであればあまりいい政策とは言えませんね。
みなさんは宿泊税の導入、また大阪市が対象拡大に踏み切ったことについてどう思われますか?